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手漉き和紙のできるまで |
流し漉き による和紙の工程・製法
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手漉き和紙の工程や道具は伝統的なものです
その製法などは和紙の産地によっても違います
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@原料の刈り取り
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主な原料は楮・三椏・雁皮を使います
ここでは楮について記載いたします
毎年12〜2月に株から出る枝を切りとり、収穫されます
A原料を蒸す
原料を約1メートルの一定の長さに切りそろえます
蒸し器で2〜3時間蒸します
B原料の皮剥ぎ(かわはぎ)
原料の黒皮をはぎます
和紙の原料は植物の繊維ですが、なかでも木の表皮と木質部との間にある靭皮繊維(じんぴせんい)を使用します
この靭皮繊維の含まれる黒皮という皮を木質部からはぎとります
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C原料の煮熟(しゃじゅく)
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釜に水と木炭や消石灰を入れ、原料の黒皮を約2時間沸騰させます
最近ではアルカリ薬品のソーダ灰や苛性ソーダを入れ、煮熟します
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D黒皮をけずる
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黒皮を水につけてやわらかくする
黒皮の黒い表皮の傷や芽を包丁でそぎ落とし、白皮にします
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E水洗い・漂白
薬品を取り除くため、原料を一晩置き、水槽に一昼夜つけておきます
白い和紙を作るために漂白します
漂白の方法には自然漂白と薬品漂白があります
自然漂白は天日を利用し、川や雪に原料を薄く広げ5日程度晒(さら)します
薬品漂白は水をはった容器に、さらし粉、塩素水(漂白剤)を入れ一昼夜晒します
ただし、薬品が繊維を劣化させ和紙を変色させるため、その後に十分な水洗いが必要です
未晒しの自然な茶褐色の和紙は、この漂白の工程を致しません
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F塵取り
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流水の中、原料を少しずつ水に浮かし、繊維を傷めないように手でさばきながら残った不純物である塵(ちり)を根気よく手作業で取り除きます
原料と大量の水をスクリーンに通して除去する、フラットスクリーンという機械もあります
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Gたたく・叩解(こうかい)
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硬い原料の繊維をより細かくほぐすため、原料を板の上に広げ、木づちや棒で1時間程度たたきます
現在では打解機(だかいき)やピーターなど機械を使用します
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H手漉きの準備
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簀桁(すげた)を十分に水につけます
粘剤であるトロロアオイをよく洗い打ち砕いて水に浸し、粘液であるネリを取り出します
このネリは手漉きをする上で、原料の繊維を水中で分散させるために必要です
気温が高いとネリの効果が下がるため、寒い冬が適しています
漉き舟(すきふね)と呼ばれる水槽に、紙料液である清水、ネリ、原料を入れます
竹で作られたクシ状の道具である、ざぶり でよくかきまぜます
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I手漉き・流し漉き
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手漉きの方法には流し漉きと溜め漉きの2種類あります
ここでは流し漉きで記載いたします
流し漉きは、初水・調子・捨水の三段階あります
「初水」は、簀桁に勢いよく紙料液を流す作業で、簀の表面に紙料をのせる行為です
「調子」は、和紙繊維を整え、和紙の厚みを調整する作業で、簀桁を縦横に振り動かします
これにより、繊維を十分に絡み合わせて、強くて美しい和紙を作ります
このときネリの働きは、水中で原料を均一に分散させて、簀からの落水時間を長引かせながら簀桁を揺す るため、原料の繊維が十分に絡み合います
「捨水」は、紙料液を簀全体に広げながら簀の前面に送り、余分な紙料液を捨てる作業です
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J脱水・圧搾(あっさく)
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漉いた和紙(湿紙)はそのつど紙床に移動し重ね合わせていきます
その日の作業が終わると紙床に厚い板をのせて一晩置きます
紙床の上下を厚い板ではさみ、圧搾機で水をしぼり出します
圧搾により、腰のある強い和紙となります
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K乾燥
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脱水が終わった和紙は水分が少なくはがしにくいため、水分を含ませながら一枚ずつはぎとります
乾燥には天日乾燥と蒸気乾燥があります
天日乾燥は干板と呼ばれる松、銀杏などの木板に、和紙を皺(しわ)にならないようにはって、天日で乾燥 させます
蒸気乾燥は乾燥機など、50℃位に熱くした鉄板に和紙をはって、熱で乾燥させます
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