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手漉き和紙の素材繊維・原料について |
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和紙の原料は植物の繊維です
木の表皮と木質部との間にある靭皮繊維(じんぴせんい)を使用します
この靭皮繊維の含まれる黒皮という皮は乾燥させて保存します
和紙を破ると「ヒゲ」のようなものが出てきます。これが和紙の繊維です
和紙はこのような繊維が1本1本積み重なってできています。繊維がからみあっていだけではなく、繊維同士がお互いに化学的に結合しています
繊維は木の皮、木質部、 草、野菜、果物などの中にも含まれますが、和紙は木の皮に含まれる長い繊維を使用します
【打解 とは】
強い良質な和紙をつくるためには、木の皮の繊維を板の上にのせて木の棒で叩いて木の皮を叩いて繊維をほぐし、この繊維から小さいヒゲを出す打解をする必要があります
打解の目的は、繊維の束を広げてほぐれやすくするためです
【叩解・こうかい とは】
繊維が一本一本バラバラになるように水の中で攪拌(かくはん)します。この作業を叩解といいます
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代表的な原料には、こうぞ(楮)、みつまた(三椏)、がんぴ(雁皮)があります
原料は1種類だけ使われたり、和紙の用途により原料を混ぜ合わせて使用します
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【和紙原料の種類】
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【楮・こうぞ】
楮はクワ科の一年木で、毎年冬場に株から出る枝を刈り取り、皮をはいで使います
成木は1年で2〜3m.になり、初夏に小さい花が咲きます
繊維は太く、繊維長は広葉樹のそれよりもかなり長く(6mm.〜15mm.程度)強靭です。強くて繊維が絡み合う性質があり、薄くてもすごく丈夫な和紙ができます
ほとんどの和紙は楮からできています
また、くしゃくしゃに揉みほぐし、衣服を仕立てることもできます しかし、表面はやや粗い和紙となります
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楮:男性的な和紙に仕上がります |
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【雁皮・がんぴ】
雁皮はジンチョウゲ科に属す成木で2m.程度の落葉低木です
生育が遅く人工的栽培が難しくできないため、やせた山地に生えている野生の雁皮を刈り取ります
そのため高価なものとなります。
繊維は細く短く(3.8mm.〜4.8mm.程度)、繊維の形状が扁平で繊維間の結合が強いので、強度と光沢のある和紙となります
襖(ふすま)紙、版画用、などに使われています
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雁皮:紙の女王と呼ばれます |
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【三椏・みつまた】
三椏はジンチョウゲ科に属し、三年で成木になります
落葉後の2〜3月頃に刈り取ります
成長につれ先端部が3つに枝分かれすることから名前がつきました
強い日光を嫌うため、北側の山腹に適しています
繊維は短く(2.9mm.〜4.5mm.程度)均質で光沢があり、しなやかな和紙になります
お札(日本銀行券)、便箋の原料にもなっており、和紙の表面が緻密でなめらかなため、にじみが少なくがきれいに印刷ができます 他に、箔合紙、書道用、美術工芸用などに使用されます
日本では室町時代から使われているそうです
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三椏:女性的な和紙に仕上がります |
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これらの原料は一種類だけで使われたり、使用目的により原料を複数混ぜ合わせたりして和紙を作ります
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【その他・紙の原料の種類】
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それ以外の紙原料として、アサ、カジノキ、クワ、スギ、ヒノキ、むぎ などが知られています
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【ケナフ】
ケナフから和紙として良質な繊維がとれます
ケナフは6ヶ月間で 3〜4メートル程度の高さにもなる、成長の早い草の一種です
木に近い性質をもち木の皮と木質部の両方の繊維を使用できます
最近は環境にやさしいと話題になっています
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【野菜、果物から】
バナナの皮、だいこん葉、ねぎ などから、和紙として良質な繊維がとれます
【樹木から】
種類により繊維長が異なります
広葉樹は、繊維長が短く0.8mm.〜1.8mm.程度となります
針葉樹は、繊維長が2.0mm.〜4.5mm.程度となります
植物繊維であれば、紙ができることも魅力のひとつです
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